株ブログ はっしゃん式 長期株投資

50歳代エンジニア兼業投資家。金融資産2億円に到達。月次情報と理論株価の分析をライフワークに、ストレスのかからない「スロートレード」を実践しています。

カルロス・ゴーンを追放した日産を待ち受けるイバラの道

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カルロス・ゴーンを追放した日産を待ち受けるイバラの道

日産自動車のカルロス・ゴーン会長が
報酬50億円を過小申告したとして、
東京地検に逮捕されました。

これを受けて日産株には売り注文が殺到。
一時、6.5%安の940円まで売られ、
950.7円で20日の取引を終了しています。

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<2018.11.19>ゴーン・ショック

19日は、ゴーン氏逮捕のニュースが速報され、
日産の会見は、ニュース番組で全国中継。

フランス市場ではルノーの株価が一時15%下落するなど、
世界にゴーン・ショックが波及しました。

カルロス・ゴーンぬきに語れない日産の復活

日産はルノーと資本提携して、
カルロス・ゴーンが派遣されるまでは、
有利子負債2兆円で破綻寸前でした。

国内では支援先が見つからず、
外資に命運を託すことになります。

COOに就任したカルロス・ゴーンは、
系列に捕らわれない部品調達や
大胆なリストラを断行し、
2兆円の負債をわずか数年で返済。
日産の復活を成功させています。

■日産の月足チャート(1989年1月-2003年12月)
バブル経済崩壊から経営危機、ゴーン氏による復活まで
バブル経済ピークからゴーン氏による復活までの日産の株価チャート

ゴーン氏就任前の1998年。
日産の株価は290円まで下落しています。

1998年は、長銀や日債銀が破綻、
不良債権問題がクローズアップされて、
平成金融危機と呼ばれた時代でした。

日産を救済する余裕などありませんね。

カルロス・ゴーンの功績と限界

カルロス・ゴーン氏は、
・旧態依然であった日産の改革
・ルノー、三菱自とのアライアンス
により日産ルノー連合を世界2位の販売台数
にまで押し上げました。

つまり、効率化とスケールメリットの追求により、
復活と成長を実現してきたわけです。

しかしながら、競争力のある未来志向のクルマを作る
という点では、チャレンジこそしましたが、
めぼしい成果を上げることはできていません

例えば、世界初の量産型EVとして投入された
「リーフ」は性能面から酷評されて売れ行きも低迷。
後発で富裕層向けに特化して成功したテスラと対照的でした。

さらに、2017年には完成車検査の不正が相次ぎ発覚
燃費や排ガス値を改ざんするなど、
消費者の信頼を失う内容でありながら、
2018年にも新たな不正が発覚するなど、
企業統治の未熟さを露呈することになってしまいました。

そして、今回は企業トップの不祥事です。

トヨタ・ホンダの未来戦略

日産が倒産の危機に瀕していた1997年。

トヨタ自動車は世界初の量産ハイブリッド自動車
「初代プリウス」を発売。
燃費、エコという新しい提案は絶大な支持を集めます。

2年後にはホンダも「初代インサイト」発売し、
ハイブリッド時代の幕が開きました。

トヨタとホンダは競争力のある魅力的なクルマで世界市場を席巻。
技術力で大きなアドバンテージを築きます。

リコール隠し事件、燃費改ざん事件の発覚で、
国民の信頼を失った三菱自動車を吸収し、
販売台数ではトヨタと肩を並べた日産ルノー連合ですが、
トヨタ、ホンダとは埋めがたい差があるのが実情でしょう。

20年で株価を10分の1にした三菱自動車4回の不祥事
http://hashang.kabuka.biz/discover/7211

フランス政府とルノー社の関係

フランス政府はルノー株の15%を保有し、
ルノー社の筆頭株主となっています。

また、マクロン仏大統領は、
日産とルノーの関係をアライアンスから
ルノーによる統合へ深化させる意向を
表明していました。

これまでゴーン氏は、
フランス政府がルノー株を保有している間は、
日産とルノーの統合は不可能との立場でしたが、
統合へ方針転換していた可能性があります。

そうだとすれば、今回のゴーン氏逮捕には、
日産サイドによる反統合クーデターの側面もあり、
今後はフランス政府、ルノー社を交えて、
日産の支配権を巡る複雑な権力闘争に陥る恐れがあります。

ルノーは日産株式の40%を保有し、
影響下に置いている状態ですが、
企業規模では日産の方が大きく
ねじれ状態になっています。

フランス政府にはルノーを日産と統合することで、
ルノーを立て直したい思惑がありますが、
日産は独立性を保持したい立場で、
ルノーへの統合には反対しています。

ところで日産には、カルロス・ゴーンに替わる人材、
ルノーを含めた企業グループを統治し、
世界の競合と伍していける人材はいるでしょうか?

今後は、ゴーン氏に替わる別の支配者が来る
シナリオになると考えられますが、統合か反統合か。
その人物が有能かどうかは分かりません。

日産を待ち受けるイバラの道

これまで述べてきたように、そもそも日産は、
ゴーン氏個人の手腕によって復活しただけであり、
良いクルマを作って完全復活したわけではありません
ここが一番の問題点です。

直近では「ノート」が大ヒットとなり、
2018年上半期に日産車としては、
48年ぶり販売台数首位になっていますが、
完全復活と思っている人は少数でしょう。

このような状況でゴーン氏を失うことになりました。
長期間に渡る権力集中の負の側面は精算されるべきですが、
アライアンスの要を失うダメージの方が大きそうです。
ゴーン氏のいない日産には、試練・難題が待ち受けています。

1.世界2位のアライアンスの内紛・機能不全
2.不正が続く企業グループの体質改善
  検査不正、燃費・排ガス改ざん、リコール隠し…
3.出遅れている自動運転時代に向けた競争力あるクルマの開発

トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、
EV化や自動運転化が進む現在を
100年に1度の大変革の時代
生きるか死ぬかの瀬戸際の戦い
と公言し、IT各社との提携や
先進技術への投資を着々と進めています。

不正体質の自動車業界が迎える自動運転時代の過酷な運命
http://hashang.kabuka.biz/industry/automobile

日産自動車の西川社長は、
ゴーン氏の逮捕を受けて会見し、
深くお詫びすると言ったものの、
頭は下げませんでしたし、
前向きな言葉もありませんでした。

日産自動車は空前の危機に瀕しています。
少なくとも顧客、株主の方を向いていません。

日産自動車の今期の配当は57円。
配当利回りは6%近い水準ですが、
赤字になれば0円です。

今日、明日では何も変わりませんし、
今下期分の配当は拠出されるでしょうが、
高利回りといえど、長期投資対象にはなりません

自動運転時代のカウントダウンは始まっていますが、
現時点で5年後、10年後に、
日産が成長して生き残っている未来は見えません

■日産の月足チャート(1998年12月-2018年11月)
ゴーン氏の就任から逮捕まで
ゴーン氏就任から逮捕までの日産の株価チャート

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