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ニセモノのベテランと失われたもの


投資コラム

本記事は2006年9月の旧ブログの
コラムからのリライト記事です。

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みずほ銀行合併トラブル

先日、NHK教育を見ていたら
面白い番組を放送していました。

まだ記憶に新しい「みずほ銀行合併時」の
システムトラブルを事例に
ニセモノのベテランの存在を
考える内容でした。

2002年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行
の3行が合併し、メガバンクの先駆けとなる
「みずほ銀行」が誕生しましたが、
3行のシステム統合に起因する
システムトラブルが相次ぎました。
 
それから20年以上を経過した現在でも
みずほ銀行は頻繁にシステムトラブルを
起こしている印象があります。

ニセモノのベテランとは

番組におけるニセモノのベテランとは、
一見して有能なように見えるが
マニュアル化された仕事しかできない
融通の利かない人たちという存在です。

彼らはマニュアル通りに作業することはできるが
自分で考えて自分で判断できないニセモノというわけです。
マニュアル外、想定外に弱いということですね。

システムというのは、設計当初は、
いろいろなケースを想定して
柔軟に作られているわけです。

しかし、想定外のトラブルは、滅多なことでは起こらない。
長い間、平常運用が続くことで想定外への対処の
重要度が少しずつ低くなっていく

重要度が低くなったタスクには、
コストをかけたくない
というのもまた企業の論理なんですよね。
予算を減らされてしまうと、
その範囲でやりくりしなければなりません。

このような経緯で重要だったはずの業務が
「ニセモノのベテラン」に引き継がれ単純化さてしまい
全く融通の利かないルーチンワーク
置き換えられてしまう。

みずほ銀行のシステムトラブルは
そういう「ニセモノのベテラン」が
組織のリーダーになった悲劇だという。

ニセモノのベテランはたくさんいる

クリエイティブな団塊の世代が大量退職して
ゼロからシステムを作り上げてきた人たちが去り、
応用力のないニセモノのベテランが残された。
これが日本の現状って感じでしょうか。

はっしゃんのサラリーマン時代でも
似たような環境はあった気がします。

企画、製造、販売、品質検査、
営業、コールセンター。
仕入れ、陳列、販売、アフターフォロー。
人事、会計、特許、etc。

普通は自分のことしかできないし、知らないです。
もちろん、最初に試行錯誤しながら、
これらシステムを作った人がいるはずですが、
システム部門が官僚的で融通が利かないのは、
どこも似たようなものでしょうか。

各部門のニーズは時代とともに
少しずつ変化していくわけですから
現場にマニュアルを押しつけるのではなく、
なぜそうなっていたかを考えて、
想定外のタスクを考慮して
少しずつ柔軟にリファクタリングしていく
必要があると思うんですけどね。

失われたもの

最近、日本企業のリストラや
コストカットのニュースが目に付きますが
短期利益、株主利益を追求しすぎて
信頼や持続性といった大事なことが
失われているような気もします。

SDGs、サステナビリティをはじめ、
ESG、CSR、GRCなどがトレンドワードになっていますが、
元々あったものが失われた結果、
叫ばれている気がするんですよね。

SDGs 持続可能な17の開発目標
サステナビリティ 持続可能性
ESG 環境・社会・ガバナンス
CSR 企業の社会的責任
GRC ガバナンス・リスク・コンプライアンス

近江商人の三方よしは、
売り手によし、買い手によし、世間によし
だったかな。

それが何故失われているのか?
残念ながら「貧すれば鈍する
ということなのでしょう。

自分が「ニセモノのベテラン」になってしまう
と思う人は、ゼロから全部自分でやってみる
とよいのではないでしょうか。

はっしゃん、は起業して多種多様な業務を経験しましたので
サラリーマン時代の自分は専門性こそ高かったものの
未熟者だったことがよくわかりました。
よく出来ていた人は全体をしっかり把握したうえで
自分のポジションを全う
していたんだなと。

 * * *

「ニセモノのベテラン」の話は、
株式投資でもよく似たところがありますね。

順風満帆の相場ばかりなら
「ニセモノのベテラン」でも通用しますけど、
相場は山あり谷ありですから、
そうは問屋が卸さないということです。

長期投資の前提となるサステナビリティの基準とROEの関係

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