今回は2006年12月にマザーズに上場し
現在は東証1部で活躍しているモノタロウを
事例に月次情報と成長株投資、長期投資
を考察してみたいと思います。
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発掘チャート<3064>モノタロウ
モノタロウは工場や工事向けの
工具や資材などをネット通信する会社で
ニッチ分野に特化することで
amazonなどとの差別化を図り
オンリーワン企業として飛躍を遂げました。
はっしゃんもポリカーポネイト板を
注文したことがありますが、
種類も豊富でカットサイズを指定できるなど
近くの大型ホームセンターよりも
細かい配慮が出来ていて
よく出来たサービスだと思いました。
■モノタロウの上場推移
2006年12月 マザーズ上場
2009年10月 月次情報のリリーススタート
2009年12月 東証1部上場
2013年1月 韓国進出
2016年10月 インドネシア進出
2018年2月 中国進出
2020年9月 インド進出
東証1部上場後は海外にも進出し
売上比率こそまだ高くありませんが
韓国やインドが成長しつつあるようです。
今後の成長持続の観点では、
海外市場での伸張に加え、
利益面で物流の効率化や
利益率の高いPB比率の拡大が
課題となっているようです。
月次テーブル
そのモノタロウが月次情報のリリースを
開始したのはリーマン・ショック後の
2009年10月からです。
最初の月次開示(1月~9月まで)は
リーマン・ショックの影響も残り
月次売上も90%台という平凡なもので
この2009年10月末の株価は
その後の分割を補正するとわずか22円でした。
ところが翌年からは業績が復活して
120%を超える月次売上を連発します。
その後も毎年2桁成長を続けるようになり、
月次テーブルの平均120%以上の安定成長が
2010年から2019年まで10年間も続きました。
2022年3月9日現在の株価は
2320円ですから2009年の月次リリース直後から
株価は100倍以上になっています。
月次情報投資では、月次売上が
100%台から110%台へ
110%台から120%台へ
とランクアップする時は
成長株の買いチャンスになりますが、
業績変化をうまく捉えられていたら
株価100倍をゲットするチャンスも
あったかもしれません。
残念ながら、はっしゃんは、
乗ることができませんでしたが(笑)
逆に月次売上が
110%台から100%台へ
100%台から90%台へ
ランクダウンしていくと
売りメドになりますが、
モノタロウの場合は
まだ売る必要はなさそうです。
20%成長を12年間続けて株価100倍
次は月次業績をリリースし始めた
2009年から2020年までのモノタロウの
売上と経常利益の推移です。
月次売上とほぼ同様に
+20%~+30%の売上成長が
続いていることが分かります。
2009年12月期 売上142億(+1.0%) 経常利益8.7億(-26.5%)
2010年12月期 売上176億(+24.5%) 経常利益13.2億(+50.9%)
2011年12月期 売上222億(+26.1%) 経常利益20.4億(+54.5%)
2012年12月期 売上287億(+29.2%) 経常利益29.4億(+43.8%)
2013年12月期 売上345億(+20.2%) 経常利益39.0億(+32.6%)
2014年12月期 売上449億(+30.0%) 経常利益43.5億(+11.6%)
2015年12月期 売上575億(+28.1%) 経常利益71.2億(+63.6%)
2016年12月期 売上696億(+21.0%) 経常利益95.1億(+33.6%)
2017年12月期 売上883(+26.9%) 経常利益118.5億(+24.6%)
2018年12月期 売上1095億(+24.0%) 経常利益137.8億(+16.3%)
2019年12月期 売上1314億(+20.0%) 経常利益158.8億(+15.2%)
2020年12月期 売上1573億(+19.7%) 経常利益196.7億(+23.8%)
2020年12月期 売上1897億(+20.6%) 経常利益243.0億(+23.5%)
また業績が復活した2010年以降の
12年間の伸び率を平均すると
経常増益率:32.8%
となっていて、バラツキはあるものの
売上以上に利益の伸びが大きいことも分かります。
同様に2020年と2019年を比較すると
経常:27.9倍
株価:164.1倍(12月末)
となり、成長を続けることで
将来の企業価値への期待が高まり
株価を押し上げる原動力になった
と言えそうです。
売上が2倍になれば利益も2倍になり株価も2倍
成長株の長期投資では、
の法則が基本になりますが、
売上よりも利益の伸びが大きい優良企業の場合は
より大きな株価上昇が期待できる好例です。
さらにモノタロウの場合では、
極端に言えば決算書も必要なく
月1回、月次業績をチェックするだけでも
株価100倍まで到達できることが示されています。
モノタロウの特徴はなんといっても
10年以上続いている20%成長です。
成長株投資の視点では50%などの高成長株に
どうしても目を奪われがちなのですが、
こういう高成長企業は成長が鈍化したり、
成長倒れになってしまうことも少なくありません。
安定成長株へのほったらかし長期投資。
もちろん、10年単位の時間が必要になりますし
はっしゃん自身も100倍には到達できていませんが、
夢のある話ではないかとおもいます。
理論株価と今後の見通し
モノタロウの理論株価チャートを見ると
コロナショック以降の人流抑制などもあり
EC企業への期待が高まったことで
理論株価と比べると割高な水準まで上昇、
その後は下落・調整が続いています。
2022年3月現在はまだ割高な水準にあるので
株価に業績が追いついてくるのを
調整しながら待っている状況と言えます。
長期的視点からは業績の右肩上がりが続く限り
気長に持ち続けるのは問題ないでしょうが、
業績がピークアウトするサインがでる可能性
(特に月次売上の悪化)
には気を付けておきましょう。