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ランチェスター戦略で成長株を探す<4>差別化と集中と成長


投資コラム

はっしゃんです。

ランチェスター戦略のエントリーでは、
これから株式投資を志す方や、
1から学び直したい方向けに
ランチェスター理論と戦略に基づいた
科学的な投資手法について
考えていきたいと思います。

このエントリーでは弱者である
個人投資家が市場とどう向き合うべきか。
玉石混合の市場から勝ち馬を見いだし、
いかに戦わずして勝つかについて掘り下げます。

4回目は弱者が強者になるまでの
「差別化と集中と成長」
について考えてみます。

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イノベーションと弱者の戦略

ランチェスター戦略は、
弱者からのイノベーション
実現するための方法論です。

イノベーションといっても、
社会生活を変えるような
大きなイノベーションもあれば、
小さなイノベーションもあります。

大きなイノベーションは、
大企業が狙ってきますので、
弱者の戦略では、
強者と競合しないような
小さなイノベーションから
始めることになります。

どのような規模であれ、
「競争の原理」が働く場所には、
競合となる商品や店舗があり、
弱者と強者が存在します。

そして、弱者が競争に勝つためには、
イノベーションによる
価値の創造が欠かせません。

差別化・集中戦略

ランチェスター理論では、
弱者がとるべき戦略として、
差別化と集中」を
提唱しています。

差別化とは、
強者と違う商品
あるいは、異なる店舗
開発する戦略です。

集中は、差別化した分野に
経営資源を集中投資することで、
特定分野に特化した
弱者に有利な戦い
を目指します。

これだけでは、
分かりにくいと思いますので、
戦略の具体例として、
セグメンテーションと
ターゲッティングの
事例を紹介します。

損切り回数が多い人には共通点があります。
ゼロにはできませんが、少なくすることはできます。

セグメンテーション

セグメンテーションは、
1つのマーケットを
より小さい市場に分解することで
多様なニーズ、消費性向を
捉える考え方です。

市場理解、あるいは
顧客理解の段階ですね。

この段階では、
できるだけ広く
そして漏れなく
市場について分析し、
トレンドや傾向を
細分化・体系化
していきます。

例えば、マーケットが
エンドユーザーであるとすれば、

・性別
・年齢
・居住地域
・職業
・年収
・趣味
・家族構成
・健康状態
・消費性向

などの要素で
市場をセグメント単位
分解していきます。

ここでの各セグメントは、
類似した消費者ニーズを持つ
グループですので、
もう少し具体的なテーマ
決めて分類してもかまいません。

例えば喫煙をテーマとすると

・愛煙家
・喫煙者
・禁煙中の人
・嫌煙家
・無関心層

のように分けられます。

さらに愛煙家を掘り下げると、

・割り切って愛煙している人
・禁煙したいができない人
・家族に反対されて悩んでいる人
・勤め先が禁煙で困っている人
・妊娠中の女性

などのように、
細かく分類できます。

それぞれのセグメントには、
満たされていないニーズがあり、
イノベーションのヒントが
隠されています。

例えば、上の
・愛煙家である妊娠中の女性
のニーズは、
タバコは吸いたいが、
 健康な赤ちゃんを産みたい
というものです。

ちょっと難しい問題ですが、
彼女たちの悩みを解決できる
よい方法があれば
イノベーションを実現
できるかもしれません。

ダーウィンの言葉
「強い者が生き残るのではなく、
 賢い者が生き延びるのでもない。
 ただ変化できる者が生き残る。」

ターゲッティング

ターゲッティングでは、
どのセグメントを選択し、
集中投資する
かを決定します。

この段階では各セグメントを
より深く調査・分析し、
既存の商品や店舗では、
満たされていないニーズ
差別化要素を発掘します。

必要に応じて
市場調査や実地調査、
アンケート調査、試作品の作成
モニターテスト調査
なども行われます。

そして、各セグメントの
ニーズを掘り下げて
仮説と検証を繰り返し
商品や店舗の強み、
市場価値や将来性を判断し、
立ち位置を決めます。

なお、ニーズというのは、
絶対的なものではなく、
価値観が変わると
180度変わったりしますので、
注意が必要です。
(強者は価値観の誘導や
 政治的な関与などにより、
 ニーズにすら干渉してきます。)

弱者はニーズを満たす
新しい価値を創造することで、
差別化された商品・店舗
開発を目指します。

これが強者の「数の優位」
に対抗できる「武器の優位」、
イノベーションにつながります。

株式投資でもっとも大切な指標「PER」について知っておくべきこと

弱者が強者になるまで

弱者の差別化・集中戦略をまとめると、

1)対象をセグメントに分解する
2)各セグメントのニーズを分析する
3)ターゲットを決めて経営資源を集中する
4)差別化された商品、店舗を開発する
5)新しい価値を創造する
6)イノベーションを実現する

となります。

これらの戦略は、
弱者である中小企業にとって
企業の存在価値そのもの
のような大きな存在
となるはずです。

「差別化と集中」が
イノベーションへの
第一歩です。

イノベーションの実現と成長

ランチェスター弱者の戦略は
「差別化と集中」によって
イノベーションを実現することです。

イノベーションの実現によって、
弱者は強者に成長します。

重要なのは同じ分野に
集中して投資をつづけること。

改善を繰り返しながら、
より深く顧客ニーズをつかみ
対象とするセグメント
少しずつ広げることで、
顧客基盤を強固にしていきます。

商品開発や店舗開発のプロセスは、
ターゲット市場を変更しない限り、
多くのノウハウを継承し、
再利用することができます。

従って同じような店舗や
類似商品を企画する場合、
または、既存の商品や
店舗を改善するケースで、
前回の失敗を教訓としたり、
これまでのノウハウを生かして、
より顧客ニーズに適合した
優れた商品、優れた店舗の
開発がしやすくなります。

改善サイクルとノウハウ蓄積

これらのノウハウは、

1)市場理解・ニーズの発掘
2)商品・店舗の開発・製造
3)商品・店舗の配送・管理
4)営業・販売
5)顧客からのフィードバック

のような商品・店舗の
改善サイクルを通じて
どんどん蓄積されていきます。

また、各サイクルにおいて
差別化されたノウハウとして

1)マーケティング力
2)開発力
3)バックヤード力
4)営業力
5)顧客基盤
6)コスト削減力

などが、他社には簡単に
真似のできない独自の強み
となって弱者を少しずつ
強くしていきます。

そして、その力が
他社への脅威として
認識されるようになったとき、
かつての弱者は、
相応の先行者利益を持つ
特定セグメントの
カテゴリーキラーとして
強者にも無視のできない
存在となっています。

10バガー株を10年かけて手にする難易度は、
それを1年で手にする難易度の10分の1に過ぎない。

少しずつ長期間に渡り実現されていく

弱者からのイノベーション、
新しい価値の創造は、
差別化と集中による
改善の繰り返しから
少しずつ長期間に渡り
実現されていきます。

このような段階になると、
企業は毎年のように増収増益
重ねるようになります。
投資家は企業の強みとなる
投資の前提条件が変わらない限り、
弱者が強者に成長する過程
ただ見守るだけでよいのです。

実際、企業の成功事例には、
このようなケースが数多く見られます。

今は強者となっている
大手企業も最初から強者だった
わけではありません。

投資家としては、
成長が続く限り投資し続ける
ことで、投資時間に比例した
成長利益を享受できます。

イノベーションによる勝者と敗者

イノベーションが達成されて、
弱者が強者に生まれ変わると同時に、
かつての強者は敗者に転落していきます。

負け組となった企業は、
減収減益が続きますが、
株価も割安となり、
配当利回りが魅力的な
企業も少なくありません。

しかし、はっしゃんは
割安な負け組企業に投資したい
とは思いません。

平成31年間で倒産した上場企業は281社。
1年あたり平均で9.3社となります。

社会的使命を終えた企業や、
優位性が後退し、非効率になって
淘汰された企業は少なくありません。

ランチェスター戦略<その5>に続きます。

長期投資で成功すればするほど、取引回数は少なくなるでしょう。

株初心者のためのランチェスター戦略

あとがき

「ランチェスターの法則」や
「孫子の兵法」に共通することは、
戦争で勝利するためには、
不確実性(ギャンブル性)を排除して、
いかに戦わずして勝つか。
負ける要素を減らし勝つべくして勝つかです。

株式投資の世界も
命の次に大切なお金をかけて
初心者とプロが同じ土俵で戦う
立派な戦場ですから、
同じことが言えると思います。

投資家はっしゃんは、
成長軌道に乗った弱者に
長期投資することで
成長利益を獲得してきました。

また、投資家としても
月次情報投資、理論株価投資など、
弱者の戦略を徹底することで
生き残ってきました。
自分は弱者という立場にたって株式投資や
投資先企業について考えてみましょう。

戦略なくして勝利なしです。

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