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フィンテック革命で潜行するメガバンクPBR0.5倍割れと金融危機


分析レポート

今日は銀行業界の株価と業績の動向を
理論株価チャートでまとめて確認します。

銀行業界は2016年のマイナス金利導入が
重しとなり、低迷が続いています。

直近はフィンテックが大きく進歩。
AIの導入、仮想通貨の台頭、
キャッシュレス決済の普及など、
金融業界が大きく変わろうとしていますが、
銀行にとっては悪化の1年でした。

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主要銀行株の株価純資産倍率(PBR)

大手銀行株のPBRを示します。(2018/12/08現在)
全行がPBR0.5倍割れとなっており、
市場評価が極めて低いことが分かります。

■主要銀行株PBRランキング
7182 ゆうちょ銀 PBR0.42倍 (配当利回り3.9%)
8306 三菱UFJ PBR0.45倍 (配当利回り3.6%)
8316 三井住友FG PBR0.48倍 (配当利回り4.6%)
8411 みずほFG PBR0.48倍 (配当利回り4.1%)
8358 スルガ銀 PBR0.48倍 (配当利回り0%)

主要銀行株の配当格付

銀行株は、軒並み株価水準が低いため、
配当利回りが高くなっていますが、
配当株投資先として選択できるでしょうか

目安として、配当格付を示します。(2018/12/08現在)
(はっしゃん監修:配当格付Webより)

■主要銀行株配当格付リスト
7182 ゆうちょ銀 配当格付E (配当利回り3.9%)
8306 三菱UFJ 配当格付E (配当利回り3.6%)
8316 三井住友FG 配当格付D (配当利回り4.6%)
8411 みずほFG 配当格付D (配当利回り4.1%)
8358 スルガ銀 配当格付除外 (配当利回り0%)

いずれもD、E低評価となり、(スルガ銀は除外)
利回り以上に株価下落リスク、減配リスクが高い
ことを示しています。

理論株価チャート分析

各社の理論株価チャートから業績を確認してみましょう。
理論株価は、EPS、ROE、BPSなどから資産価値と事業価値を算出しています。
オレンジ色のラインが理論株価の推移です。

■7182 ゆうちょ銀 PBR0.42倍 (配当利回り3.9%) 配当格付E
7182

ROA0.15%、ROE2.77%と極めて脆弱な収益構造です。ここ1年の株価は右肩下がり。

■8306 三菱UFJ PBR0.45倍 (配当利回り3.6%) 配当格付E
8306

直近でもROA0.37%、ROE7.06%と低い収益構造が続いてます。ここ1年の株価は右肩下がり。

■8316 三井住友FG PBR0.48倍 (配当利回り4.6%) 配当格付D
8316

こちらもROA0.39%、ROE7.51%と低い収益構造が続いてます。ここ1年の株価は右肩下がり。

■8411 みずほFG PBR0.48倍 (配当利回り4.1%) 配当格付D
8411

同じくROA0.32%、ROE7.24%と低い収益構造が続いてます。ここ1年の株価は右肩下がり。

■8358 スルガ銀 PBR0.48倍 (配当利回り0%) 配当格付除外
8358

不動産融資の焦げ付きで赤字に転落しています。株価は暴落。

銀行の共通点は、ゆうちょ銀でROE2%台、
メガバンク3行でもROE7%台の低収益。
これが低い市場評価に直結していると言えます。

外国人投資家に買ってもらえる企業の条件を理解する

マイナス金利とリテール地位の低下

現在はマイナス金利下ということもあり、
1年物の定期預金の金利は0.01%。
100万円を1年預けて利子100円。(笑)

一方の銀行も日銀に預けるとコストが発生する
逆ザヤで苦しんでいます。

さらに、電子マネー・仮想通貨が普及し、
キャッシュレス決済を国策として後押し。
リテール分野で銀行の地位は低下しています。

必要とされなくなった銀行は店舗を削減し、
行員をリストラして生き残ろうとしていますが、
to little、to lateではないでしょうか。

そもそも人や店舗が余っているといっても、
・土日は休み
・15:00で窓口終了
・待ち時間は長い
・駐車場は狭い
銀行はサービス業なのに(笑)

(銀行の営業時間は銀行法で既定されている)

はっしゃん独自のExcel企業分析シートはこちら。

国際評価と今後の見通し

IMFは世界大手銀行の中でも
ROE8%未満を低収益行と位置づけ、
持続可能な水準でないと警告しています。

2018年中間期のメガバンク3行の
ROEは上の通り7%台が現状。
ようするに危ない低収益行ということで、
安全性重視の配当投資先には不適当でしょう。

ちなみにROE8%という水準は、
2014年に経産省プロジェクトでまとめられた
通称「伊藤レポート」でも企業が持続的に成長するための
最低限必要な基準とされたものです。

また、国際金融行ではないものの、
すったもんだで民営化したゆうちょ銀にいたっては、
ROE2%台とさらに低い利益水準。

そして、ここではスルガ銀だけ取り上げましたが、
地方銀行は、もっと悲惨な状況になっています。

地方銀行の中では、攻めの経営で評価も高かった
スルガ銀の失敗で経営リスクが取りづらくなり、
さらに厳しい状況に追い込まれているように見えます。

現在は好景気下のため問題となっていませんが、
景気が減速して債権回収に支障が出てきたとき、
現状では金融危機再来がないとも言えません。

フィンテック革命により金融業務は激変しています。
生き残るためには銀行が変わるしかありません

成長率を設定すれば、5年後の企業価値も計算できます。

フィンテック革命の本質

フィンテック革命が進めば進むほど、
店舗と行員は不要になります。

銀行は平成バブルの精算を凌駕する
テクノロジー革命と対峙する運命にあります。

革命の担い手になりそうなところは、
邦銀には見当たりません。
(海外も含め銀行業界にはなさそうです)

以前、自動車業界の分析にて、
「超高度化したIT業界に
 自動車業界が飲み込まれようとしている
 というのが実情ではないでしょうか。」
と書きました。
■関連記事

銀行業界も自動車業界と同じことです。
フィンテックは銀行業界発のイノベーションではなく「黒船」なのです。

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