高配当株としても知られる
ミクシィの株価が急落しています。
急落の要因は、同社の看板ゲーム
モンスターストライクの不振ですが、
今回のミクシィの失速から、
ゲームビジネスの賞味期限
について考えてみましょう。
スポンサーリンク
発掘チャート<2121>ミクシィ
モンストは、SNSサービスmixiを展開していた
ミクシィ社が開発したスマホアプリゲームで、
携帯ゲームからスマホゲームへの過渡期に投入され、
ガンホー社のパズドラに続くヒット作へ成長しました。
2014年3月期 263 ※10月モンストリリース
2015年3月期 52,706 (+1900%) ※モンスト国内1000万人突破
2016年3月期 94,798 (+79.9%) ※モンスト国内2000万人突破
2017年3月期 88,472 (-6.7%) ※モンスト国内3000万人突破
2018年3月期 72,717 (-17.8%)
2019年3月期 41,120 (-43.5%) ※モンスト国内4000万人突破
2020年3月期 5,000 (-87.8%) ※会社予想
モンストは、タッチパネルでの簡単な操作や、
マルチプレイ対応という特徴もあり、
小学生などの低年齢層からも人気を集め、
多くのアクティブユーザーを獲得しました。
モンスト以前、SNSの不振で窮地に陥っていた
ミクシィの業績は、劇的な成長を遂げ、
株価はモンスト前の34倍まで上昇しています。
課金システムの課題と海外展開の失敗
モンストは、課金システムとして
パズドラと同様にガチャ・システムを採用。
日本では絶大な人気となりましたが、
海外では、支持されず失敗に終わりました。
ゲームビジネスでより大きな成功を目指すには、
グローバル市場の攻略がカギとなりますが、
パズドラに続くモンストの海外失敗は、
日本式ガチャ・システムの限界を露呈しました。
高配当ミクシィの配当推移と原資の枯渇
ミクシィは高配当株としても知られますが、
好業績時には、20%だった配当性向は、
2019年3月期は34%まで上昇。
2020年3月期では276%を予定しています。
2014年3月期 14円配 (EPS -3.04円)
2015年3月期 82円配 (EPS 409.62円) 配当性向20%
2016年3月期 147円配 (EPS 734.59円) 配当性向20%
2017年3月期 147円配 (EPS 730.85円) 配当性向20%
2018年3月期 121円配 (EPS 533.48円) 配当性向22%
2019年3月期 120円配 (EPS 350.26円) 配当性向34%
2020年3月期 110円配 (EPS 39.81円) 配当性向276% ※会社予想
今期で事業をテコ入れしてV字回復が、
ミクシィ社サイドの希望的観測のようですが、
モンスト事業の収益力が低下してきたことで、
高配当の維持は、怪しくなってきました。
今期はともかく、来期V字回復のメドがたたなければ、
大幅減配となる可能性が高そうです。
モンストのオワコン化とミクシイの賞味期限
今期が大幅減益見通しとなったことで、
モンストがミクシィの業績に寄与したのは、
2014-2018年の約5年間だったことになります。
ミクシィは、モンストが利益を上げている間、
他ゲームやネットサービス事業にもチャレンジしましたが、
めぼしい成果をあげることはできていません。
ミクシィという会社は生き残っていけるのでしょうか?
モンストのおかげで、資金は豊富にあるはずなので、
収益に貢献するM&Aも視野に入ていかないと、
企業価値を維持できないと思いますけどね。
決算説明会で触れられたスポーツ領域では微妙な気が・・
ゲーム会社と長期投資
長期投資先としてのゲーム会社を考えるに、
モンスト級でも稼げるのは5年程度。
株価のピークはもっと短くなり1-2年。
(モンストの場合は4年目に第2の山がありましたが)
果たしてゲーム会社は長期投資先として適切なのか?
現状では、グローバル市場で成功する見通しが立たない限りは、
割り切った期間設定が必要ではないかと思います。
関連リンク
スポンサーリンク
あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。