今回はファミレス大手で優待株として
人気のすかいらーくの株式売り出しや
株主優待の増額・改悪について考察してみます。
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INDEX
発掘チャート<3197>すかいらーく
すかいらーくは再上場前は、
筆頭株主ベインキャピタルが
95%を保有する筆頭株主でしたが、
再上場から約3年で全株を売却しています。
■ベイン売り出し株数
2014/10/09 ベイン6481万株(33%)
2015/06/01 ベイン3206万株(16%)
2017/03/28 ベイン2143万株(11%)
2017/06/15 ベイン2550万株(13%)
2017/11/22 ベイン3894万株(20%)
※日付は売り出し価格の決定日
■株主優待3倍増額の詳細
100-299株 2,000円→6,000円
300-499株 6,500円→20,000円
500-999株 11,000円→33,000円
1000株以上 23,000円→69,000円
その売り出しには、株主優待によって、
需給をコントロールして値崩れを防ぐ手法が見られます。
ベインによる売り出し経緯
すかいらーくの株主優待は、
6月と12月が権利取りになっていて、
株価が上昇しやすい傾向があります。
第1回 2014/10/09 再上場による売り出し
再上場時に約33%を売り出しました。
第2回 2015/06/01 追加売り出し
株主優待権利取りの6月に被せる形で、
16%を売り出しました。
第3回 2017/03/28 追加売り出し
株主優待を3倍に増額し、
株価が急上昇したタイミングを狙って
翌月11%を売り出しています。
第4回 2017/06/15 追加売り出し
高利回りの株主優待が人気となり、
その権利取りの6月に被せる形で、
続けて13%を売り出しています。
第5回 2017/11/22 全株売り出し
さらに権利取りの12月に被せる形で、
11月に20%を売り出しています。(全株放出)
これで2017年だけで3回目の売り出しとなり、
需給が崩れて株価も調整しました。
需給と株価の関係
すかいらーくの場合は、
筆頭株主が早期売り抜けを図ったため、
供給が需要を上回る形となり、
配当+株主優待で高利回りだったにも関わらず、
株価はそれほど上昇しませんでした。
大口投資家にメリットがない株主優待の特殊性です。
保有100-1000株までの株主には高利回りですが、
例えば100,000株保有の優待価値は1/100。
2000万株以上の売り出しで小口投資家の買いが
追いつかなければ、株価は崩れます。
ただし、全株放出後は、じり高となり、
再上場後の高値を更新しています。
株価の短期上昇を狙った投資家は、
失敗したことになりますが、
優待目的で買った投資家には、
悪くない結果だと思います。
今後の見通し
株主優待のある外食チェーン株は、
理論株価より割高な水準まで買われ、
人気化する傾向にあります。
ココイチ 4.6倍
マクドナルド 4.5倍
ゼンショー 4.5倍
スシロー 4.1倍
コメダ 3.5倍
すかいらーく 2.7倍
吉野家 2.1倍
※2019年1月現在
人気は、配当+株主優待のお得度に
業績がミックスされているようです。
すかいらーくはベイン売り出しによる
需給悪化の経緯があり、お得度からみて、
まだ上昇余地はありそうです。
ただし、業績があまりよくない場合は、
人気も抑えられるようですので、
業績はチェックしていきましょう。
配当は38円→19円に減配予定となっています。
優待についてもリスクはありそうです。
優待の改悪に注意
注意点としては、株主優待が3倍に増額されたのは、
ベインの売り出し価格を上げるためだったということです。
現在はもう、その必要はなくなりましたから、
万が一、株主優待が改悪された場合には、
大幅下落の可能性もありますので注意しましょう。
株主優待制度の変更
本ブログで警鐘していた通り、すかいらーくの株主優待制度が変更されましたので記録しておきます。
優待変更 2020/09/10 半減
ついに、すかいらーくから優待減額が発表されました。
株価は一時-10%超の大幅安になりましたが、
それでもまだ3倍増額前よりは高い水準で据え置かれています。
すかいらーくの業績はコロナ禍の外食自粛で悪化しており、
今後の業績次第で、さらなる減額可能性もあると思われます。
■株主優待半減の詳細
100-299株 6,000円→4,000円
300-499株 20,000円→10,000円
500-999株 33,000円→16,000円
1000株以上 69,000円→34,000円
関連リンク
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あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。