今回は2006年1月に発生した
ライブドア粉飾決算事件と
その影響について振り返ります。
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ライブドアショックまでの流れ
ライブドアの堀江貴文氏は、
ITバブルで成功した起業家、
カリスマ社長として、投資家はもちろん、
お茶の間にまでホットな話題を提供し、
一躍脚光を浴びていました。
2004年8月 プロ野球球団買収事件 (楽天に敗れる)
2004年12月 ライブドア株100分割事件 (15連続ストップ高)
2005年2月 ニッポン放送への敵対的買収事件 (失敗)
2005年8月 郵政解散の後、事実上の自民党候補(無所属)として衆議院選出馬 (落選)
また、個人投資家の人気を集めたライブドアは、
豊富な資金力を背景に多くの企業を傘下に収めていきました。
3746 メディアエクスチェンジ
3777 ターボリナックス
4759 ライブドアマーケティング
7602 ライブドアオート
8901 ダイナシティ
9937 セシール
例えば、ライブドアはジャックHD株式の51%を取得し、2006年元旦に名称をライブドアオートに改めています。(皮肉なことに、そのすぐ後で粉飾決算が発覚しました)
発掘チャート<4753>ライブドアショック
2006年1月16日。証券取引法違反容疑で
東京地検特捜部がライブドアに強制捜査に入ります。
ライブドアは、企業価値増大を目的として、
赤字決算を大幅な黒字決算に粉飾、
株価を不正に吊り上げたうえで、
市場から新たな資金を調達したり、
経営陣が持株を高値で売却するなど、
投資家から巧妙に資金を騙し取っていました。
経営陣が悪事に手を染めるのが典型ですが、
ライブドアの場合、個人投資家を騙す目的で
計画的に行われており、非常に悪質でした。
(大企業の不正と比べ金額的に小さいとはいえ)
翌日、ライブドア関連株は軒並みストップ安となり、ライブドアが上場していたマザーズ市場は10%を超える暴落となりました。
2006/01/16 東京地検特捜部が証券取引法違反容疑でライブドアを強制捜査
2006/01/17 午前。ライブドアショック。
2006/01/17 午後。マネックスショック。
2006/01/18 東証の全銘柄が取引停止
2006/03/13 ライブドア上場廃止決定
ライブドアショックは当初、新興市場が中心で、東証1部に大きな影響はありませんでしたが、マネックス証券を震源とする事件により、市場全体に波及します。
マネックスショック
マネックス証券がライブドアグループ各社の株を予告なく担保価値ゼロとしたことにより、ライブドア関連株を担保に信用取引していた投資家は、新興株が暴落する状況で、入金するか強制売却かの選択となり、翌朝には個人投資家の大量の売り注文から、東証が全銘柄の取引停止する大混乱になりました。
ライブドアショック後の日本
堀江貴文氏は、懲役2年6ヶ月の有罪判決となり収監、ライブドアは上場廃止となり、グループは解体されました。
ライブドアショックまで、日本の社会や市場は、
IT企業や新興企業に比較的寛容でしたが、
この事件や村上ファンド事件をきっかけに、
排他的、閉鎖的な傾向が強くなり、
新興市場は長い低迷を余儀なくされます。
政治では、自民党が下野して民主党政権が誕生。
リーマンショックや東日本大震災など悪いことが重なり、
アメリカから大きく遅れ、中国の台頭を許すことになってしまいます。
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あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。