2001年9月11日に発生したNYテロは、
株式投資に取り組んできた中でも、
恐怖を覚えた数少ない局面として、
今でもはっきりと覚えています。
スポンサーリンク
同時多発!旅客機テロの衝撃
日本市場が終わり、夜テレビでWBSを見ていると、
2機の旅客機が相次いでワールドトレードセンタービルに突っ込み、
続いてペンタゴンにも旅客機が突入。
さらに何機かの旅客機がハイジャックされて消息不明となり、
ホワイトハウスに向かっているとかいないとか・・・
旅客機が突っ込んだワールドトレードセンタービルは、
黒煙をあげて炎上して二棟とも倒壊し、
犠牲者は多数。逃げ惑う人々。
NYテロ後の日本市場
その日、NY市場は終日取引停止となり、
翌9月12日(水)の朝、日本市場がスタート。
あまりに想定外すぎる状況に、
「え、本当にやるの?」
「取引停止が妥当」
「損するだけやん」
という感じ。
さらに、この日はなんと、
値幅制限が半分
という条件付きでの取引開始。
はっしゃんが投資してきた中、
このルールが適用されたのは、この時だけ。
ほとんどの銘柄がストップ安売り気配となり、
まさに修羅場の1日。
NY市場の再開と回復
アメリカ
NY市場が再開したのは翌週の17日(月)から。
再開直後は、7%超の暴落でしたが、
約2ヶ月で全値を回復しました。
NYテロ後: 09/17 8,920.70ドル -685(-7.12%)
全値回復: 11/09 9,608.00ドル
最終的な犠牲者は約3,000名。
この9.11を境に世界は少し変わり、
テロとの戦争や自爆テロが生々しく
クローズアップされましたが、
市場への影響は限定的でした。
日本
日本市場もNY市場の再開とともに、
少しずつ落ち着きを取り戻していき、
NY市場より一足早い1ヶ月後には、
テロ前水準を回復しています。
NYテロ後: 09/12 9,610円 -683(-6.63%)
全値回復: 10/09 10,347円
NYテロやブラックマンデーの教訓から、
暴落では慌てて売らず、嵐が過ぎるのを待て
という言葉も耳にするようになりました。
大成火災の一発退場劇
そんなNYテロから2ヶ月あまりが
経過した2001年11月21日。
日経平均はテロ前水準を回復しており、
大成火災の株価は400円でした。
翌朝の22日、同社はNYテロの
再保険の支払いによる債務超過転落を発表し、
突然、会社更生法を申請します。
同社の売買は終日停止となって、
23日からは整理ポストに割り当てられる
まさに一発退場となりました。
株価は翌日からストップ安で
売り気配のまま値が付かない状態となり、
11/27に5円で寄り付きましたが、
最終的には1円で終了。
NYテロの影響の大きさを物語る
エピソードの1つですが、
青天の霹靂の退場劇でした。
保険会社と大規模災害リスク
大成火災の退場は、保険会社の支払リスクを示す事例の1つです。
無限責任の保険契約では、想定外の大規模災害発生時において、会社存続が不可能となるような支払義務発生リスクもありうるということになります。
ただし、通常の保険契約では、テロや戦争、地震、津波、噴火などは免責となるため、大規模災害=保険会社破綻とはならないようです。(考えてみれば当たり前ですが)
例えば、東日本大震災は死者不明者15,000人以上とNYテロの5倍超ですが、保険会社は破綻していません。
大成火災の破綻は、利益追求目的でリスクバランスの不適切な再保険契約を慣例として継続してしまった結果だと思われます。
スポンサーリンク
あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。