株ブログ はっしゃん式 発掘チャート


賢者は歴史に学ぶ。株式市場の記憶に残る名場面を株価チャートで再現して振り返る懐古的株ブログ

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<2001.9.11>NY同時多発テロの暴落と大成火災の一発退場劇


発掘チャート
自由の女神から望むNYの風景

2001年9月11日に発生したNYテロは、
株式投資に取り組んできた中でも、
恐怖を覚えた数少ない局面として、
今でもはっきりと覚えています。

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同時多発!旅客機テロの衝撃

日本市場が終わり、夜テレビでWBSを見ていると、
2機の旅客機が相次いでワールドトレードセンタービルに突っ込み、
続いてペンタゴンにも旅客機が突入。

さらに何機かの旅客機がハイジャックされて消息不明となり、
ホワイトハウスに向かっているとかいないとか・・・

旅客機が突っ込んだワールドトレードセンタービルは、
黒煙をあげて炎上して二棟とも倒壊し、
犠牲者は多数。逃げ惑う人々。

自由の女神から望むNYの風景

NYテロ後の日本市場

■日経平均 日足チャート 09/12(水) 9,610円 -683(-6.63%)9.11NYテロ時の日経平均株価チャート。-6.6%の暴落。

その日、NY市場は終日取引停止となり、
翌9月12日(水)の朝、日本市場がスタート。
あまりに想定外すぎる状況に、
「え、本当にやるの?」
「取引停止が妥当」
「損するだけやん」
という感じ。

さらに、この日はなんと、
値幅制限が半分
という条件付きでの取引開始。

はっしゃんが投資してきた中、
このルールが適用されたのは、この時だけ。

ほとんどの銘柄がストップ安売り気配となり、
まさに修羅場の1日。

■ストップ安になった主要銘柄の株価チャート
NYテロ前後の主要4銘柄の株価チャート
ほとんどがストップ安というと、ブラックマンデーが有名ですが、この時、はっしゃんはまだ学生でした。

NY市場の再開と回復

アメリカ

NY市場が再開したのは翌週の17日(月)から。
再開直後は、7%超の暴落でしたが、
約2ヶ月で全値を回復しました。

NYテロ前: 09/10 9,605.51ドル
NYテロ後: 09/17 8,920.70ドル -685(-7.12%)
全値回復: 11/09 9,608.00ドル

最終的な犠牲者は約3,000名。
この9.11を境に世界は少し変わり、
テロとの戦争や自爆テロが生々しく
クローズアップされましたが、
市場への影響は限定的でした。

日本

日本市場もNY市場の再開とともに、
少しずつ落ち着きを取り戻していき、
NY市場より一足早い1ヶ月後には、
テロ前水準を回復しています。

NYテロ前: 09/11 10,293円
NYテロ後: 09/12 9,610円 -683(-6.63%)
全値回復: 10/09 10,347円

NYテロやブラックマンデーの教訓から、
暴落では慌てて売らず、嵐が過ぎるのを待て
という言葉も耳にするようになりました。

過去70年の日経平均の下落率ランキング歴代ワースト20はこちら

大成火災の一発退場劇

そんなNYテロから2ヶ月あまりが
経過した2001年11月21日。
日経平均はテロ前水準を回復しており、
大成火災の株価は400円でした。

翌朝の22日、同社はNYテロの
再保険の支払いによる債務超過転落を発表し、
突然、会社更生法を申請します。

同社の売買は終日停止となって、
23日からは整理ポストに割り当てられる
まさに一発退場となりました。

■8765 大成火災 週足チャート NYテロから上場廃止までNYテロ後に上場廃止となった大成火災の株価チャート

株価は翌日からストップ安で
売り気配のまま値が付かない状態となり、
11/27に5円で寄り付きましたが、
最終的には1円で終了。

NYテロの影響の大きさを物語る
エピソードの1つですが、
青天の霹靂の退場劇でした。

倒産企業リストは、社会的な役割を終え、消えていった企業の尊い墓標です。

保険会社と大規模災害リスク

大成火災の退場は、保険会社の支払リスクを示す事例の1つです。
無限責任の保険契約では、想定外の大規模災害発生時において、会社存続が不可能となるような支払義務発生リスクもありうるということになります。

ちなみに、はっしゃんは無限責任という概念を「MASTERキートン」というマンガで初めて知りました。

ただし、通常の保険契約では、テロや戦争、地震、津波、噴火などは免責となるため、大規模災害=保険会社破綻とはならないようです。(考えてみれば当たり前ですが)

例えば、東日本大震災は死者不明者15,000人以上とNYテロの5倍超ですが、保険会社は破綻していません。

大成火災の破綻は、利益追求目的でリスクバランスの不適切な再保険契約を慣例として継続してしまった結果だと思われます。

■参考資料
 巨大災害・巨大リスクと生命保険の課題 明田裕氏による日本保険学会での論文
 大成火災破綻前史 吉澤卓哉氏による大成火災破綻に関する論文

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あとがき

私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。

「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。

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