株ブログ はっしゃん式 発掘チャート


賢者は歴史に学ぶ。株式市場の記憶に残る名場面を株価チャートで再現して振り返る懐古的株ブログ

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<1987.10.19>実録ブラックマンデーで株価はどう動いたのか


発掘チャート
ブラックマンデー時の日経平均株価チャート

史上最大の株価暴落と呼ばれている
ブラックマンデーは、
日本市場ではNY暴落の翌日、
 1987年10月20(火)
に発生しました。

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動画版公開

動画がお好みの方はこちらをごらんください。

発掘チャート<1987.10.19>

ブラックマンデーでは、
わずか1日で
 NY市場:-22.6%(-508ドル)
 日経平均:-14.9%(-3,836円)
の大暴落となりました。

はっしゃんはブラックマンデーの時には、
まだ学生でしたので、ニュースで見た程度です。
そこで、当時の株価を調べて株価チャートを作り、
何が起こったのかを紐解いていきました。

では、ブラックマンデーの時、
株価はどう動いたのか?
各業種を代表する銘柄の株価チャートから、
当時を振り返ってみましょう。

■<1925>積水ハウス -300 (-15.2%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<2503>キリン -362 (-17.2%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<3402>東レ -100 (-11.6%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<4063>信越化学 -381 (-19.2%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<4502>タケダ -454 (-15.1%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<5108>ブリヂストン -182 (-15.2%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<5401>新日鉄 -540 (-12.3%) ストップ安売り気配ブラックマンデーの株価チャート
■<6301>コマツ -95 (-13.7%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<6758>ソニー -227 (-10.9%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<7203>トヨタ -300 (-19.1%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<8058>三菱商事 -200 (-16.4%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<8604>野村證券 -485 (-11.6%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<8801>三井不動産 -381 (-18.8%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート
■<9432>NTT -1275 (-8.9%)ブラックマンデーの株価チャート
■<9501>東京電力 -971 (-15.2%) ストップ安売り気配の一本値ブラックマンデーの株価チャート

※株価チャートは分割後の株価に補正されています

ピックアップした15銘柄のうち、
新日鉄とNTTを除いた13銘柄が、
ストップ安売り気配の一本値。

当時まだIPOから日が浅く、
一番人気でもあったNTTを除いた
14銘柄がストップ安になっています。

主力株のほとんどがストップ安になった暴落はもう1つあります。それがNY同時多発テロです。

ストップ安と下落率

ブラックマンデーでは、業種に関係なく、
ほとんどの銘柄がストップ安となりました。
(多くがストップ安売り気配の一本値)

また、チャートから分かるように、
暴落の一方で出来高は少なく、
買い向かった人がいない
のが分かります。

暴落は買いチャンスでもあり、
通常は出来高も増えるものですが、
なぜでしょうか?

実は、NY市場と日経平均の
下落率の差にヒントがあります。

■ブラックマンデー時の日足チャート (1987年8月-1987年11月)
ブラックマンデー時の日経平均株価チャート

日経平均(-14.9%)の下落率は、
NY市場(-22.6%)と7.7%も差があり、
前の15銘柄でも下落率を平均すると
-15%前後になります。

実は、ブラックマンデー当時から、
日本市場にはストップ安ルールがあるため、
1日の下落幅に制限がありますが、
NY市場には制限はありませんでした。

この日経平均とNY市場の下落率の差が、
日本株のさらなる下値余地、先安感を生み、
ストップ安でも買いが入らなかったのです。

ブラックマンデーでの各銘柄の下落率は、
ストップ安の当日値幅が何パーセントだったか
で、たまたま決まっただけです。

なお、ブラックマンデーを契機として、
NY市場にもサーキットブレーカーが導入
されましたので、このような大暴落は、
1日ではもう起こらないと言われています。

暴落の原因

これだけの大暴落となったブラックマンデーですが、
リーマン・ショックや9.11NYテロと異なり、
実は、原因がはっきりしません

当時アメリカの財政赤字や貿易赤字、
プラザ合意後の急激な為替変動や、
その後のルーブル合意の不調により、
ドル安に歯止めがかからなくなり、
逆指値のような自動売買プログラムから、
売りが売りを呼んだと言われています。

翌日になってNY市場が反発すると、
日本市場でも多くの銘柄が、
翌日ストップ高となり、回復しました。

もっとも、暴落→暴騰で終わりではなく、
1ヶ月以内にほとんどの銘柄が、
さらに何回か安値を更新しています。

上の15銘柄で1ヶ月以内に安値更新しなかったのは、
新日鉄と東京電力の2銘柄のみですから、
大暴落があれば、冷静に2番底を狙う方が
賢い選択かもしれませんね。

予測不能暴落の恐怖

後から振り返ると分かりにくいのですが、
ブラックマンデーの本当の恐怖は、
予測不能型だったということです。

例えばリーマン・ショックは台風のようなもので、
予測して対策を取ることができるタイプでした。

似たような予測不能型の暴落には、

・NY同時多発テロ
・東日本大震災

などがあり、10年単位でみると、
発生頻度も決して低くないのです。

予測不能暴落のリスクについては、
投資家として知っておくべきでしょう。

日経平均株価の下落率歴代ワースト20ランキングにはいくつか特徴があります。

ブラックマンデー後

株価はしばらく不安定な値動きでしたが、
それでもリーマン・ショックと比べると、
影響は軽微だったといえるでしょう。

■暴落で倒産した上場企業の数
ブラックマンデー:なし
リーマン・ショック:50社以上

ブラックマンデーの半年後には、
日経平均も全値回復
となり、そこから
1989年12月のバブル相場頂点に向けて
日本史上最大の株価バブルが始まることになるのです。

■ブラックマンデーを中心とした月足チャート (1985年1月-1989年12月)
 日本市場ではプラザ合意後に株価がバブル化していく過程で発生して、半年ほどの調整局面になっています
ブラックマンデー前後の日経平均株価チャート

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あとがき

私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。

「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。

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