今日は、はっしゃんが独自に開発し、
現在も株式投資のメインロジックに使用している
理論株価の計算や長期投資活用について紹介します。
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INDEX
理論株価は長期投資向け
まず、はっしゃんが理論株価を
利用しているのは長期投資目的です。
需給が優先する短期投資では、
理論値より上か下かは、あまり関係ありませんが、
短期的に大きく変動している株価も
長期的には理論値に収斂します。
つまり、3年、5年のスパンで理論株価(業績)が
上昇し続ける銘柄に長期投資しておくと
株価も連動した上昇が期待できるというわけです。
長期投資でも理論値より上か下かではなく、
右肩上がりで株価と理論値が連動して上昇する
「連動性」が大切になってきます。
決算や業績修正時の業績インパクト算出に有用です。
理論株価に対する誤解について
理論株価が○○○○円だから株価上昇が期待できる
というような発言を目にすることがありますが、
はっしゃんの考え方は少し違います。
株価が理論株価より安いことは割安の証明ですが、
それだけで株価が上がるとは限りません。
(不人気の低PER株が放置されるのと同じこと)
より重要なことは、今後の決算で理論株価が上昇するかどうかです。
理論株価が継続して上昇していく(期待がある)と株価も連動して上がりやすくなります。
逆に期待が先行しすぎて株価が理論株価を遙かに超えているような株は、
株価に見合った業績を決算で示さないと
(期待値が縮小した場合に)急落するリスクを孕んでいるといえるでしょう。
株価は将来の業績に対する期待値を反映して大きく変動します。
一方で理論株価は、期待値の要素を取り除いた真の企業価値を示しています。
だから、投資家がやるべき事は、
2.未来の業績を予測して理論株価の上昇が見込める投資先を探すこと
となりますね。
手間のかかるバリエーション算出コストを理論株価で簡素化し、より重要度の高い未来の企業分析に時間をかけるために、はっしゃんのツールや理論株価Webなどをご活用いただければ幸いです。
理論株価の計算方法
はっしゃん式理論株価は、
下の式で計算しています。
資産価値=BPS×割引評価率
事業価値=EPS×ROA×150×財務レバレッジ補正
少し詳しく見ていきましょう。
資産価値の計算
資産価値は企業の1株純資産(BPS)をベースに
自己資本比率で割引評価します。
80%以上:80%
67%以上:75%
50%以上:70%
33%以上:65%
10%以上:60%
10%未満:50%
日本株の自己資本比率は40%程度なので、
平均すると資産価値はBPSの65%程度になります。
同様に日本株の平均PBRは1.3倍程度ですから、
BPS×65%≒PBR1.3倍×50%
となり、市場価値のウェイト半分が資産価値の評価となります。
事業価値の計算
次に事業価値は、
事業価値=EPS×ROA×150
の計算式になりますが、次のように変形できます。
事業価値=PER15倍×ROAの10倍
日本株の平均PERは15倍程度、平均ROAは約5%なので、
日本株全体の事業価値は、
PER15倍×(0.05×10)=PER7.5倍
となり、残り市場価値のウェイト半分が事業価値の評価になります。
EPSの計算
事業価値のベースとなるEPSの計算は、経常利益を用います。
また、想定実効税率を30%とし、0.7を乗算しています。
EPS=経常利益×0.7÷(発行済株式数-自己株式数)
ただし、EPSの上限をBPSの60%とします。
(過小資本銘柄の過剰評価防止のため)
このルールの適用により、債務超過銘柄(BPSがマイナス)は、黒字であっても事業価値がゼロになります。
理論株価のPERレンジ
事業価値計算時のROA評価上限は30%です。
従って、理論株価のPER上限は、
ROA30%以上の優良銘柄の場合で
PER15倍×(30%×10倍=3倍)=PER45倍
となります。
さらに資本効率によって財務レバレッジ補正
財務レバレッジ補正=1÷[0.66<=(自己資本比率+0.33)<=1]
が適用されます。
レバレッジ2倍:1.2倍
レバレッジ2.5倍:1.36倍
レバレッジ3倍以上:1.5倍
このように事業価値はROAによって、
PER0-45倍の範囲となり、
さらにROE(財務レバレッジ)によって
PER0-67.5倍に補正されます。
そして、事業価値のさらに2倍を
上値メドとして上限株価に設定します。
上限株価はPER0-135倍の範囲です。
まとめると理論株価はPER換算で、
上限株価=資産価値+PER0-135倍
のレンジで算出されることになります。
※EPSは銘柄によっては純利益ではなく、
経常利益×実効税率で計算しています。
リーマンショックルール
最後にもう1つ。リスク評価率があります。
理論株価は当初、株価を含む指標を対象外とし、
純粋に財務指標だけから計算していましたが、
リーマンショックを経験し、考えを改めました。
直近決算が黒字の増収増益企業が下方修正もなく倒産してしまいます。
決算を待って財務指標を確認するのでは間に合わないのです。
そんな評価指標に価値はありませんよね。(笑)
リスク評価率は適用対象をPBR0.5倍未満としています。
0.41~0.49倍:80%
0.34~0.40倍:66%
0.26~0.33倍:50%
0.21~0.25倍:33%
0.04~0.20倍:5~25% ( (pbr / 5 * 50) + 50 )
0.00~0.03倍:0.5~2.5%( (pbr – 1) * 10 + 5 )
長期で狙える妥当な株価
結局、理論株価が何をしているかというと、
BPS、EPS、ROA、ROEをベースとした
理論値、すなわち妥当株価の計算です。
ただし、平均PER15倍、平均PBR1.3倍
といった一律の平均値ではなく、
資産価値の場合は自己資本比率から理論PBRを算出、
事業価値の場合はROEから理論PERを求めたうえで
これらを合算するようにしました。
この値は、企業の業績、なかでも主に利益と資本効率から見みた場合、
企業価値が理論株価となってもおかしくないという理論上の評価を示します。
あらゆる企業の株価は長期的には理論株価に収斂していきます。
理論株価以上の特殊な付加価値プレミアムを持つ銘柄も存在しますが、
統計的な視点からは誤差のようなものです。
それが人気過剰でもなく、不人気でもない
投資家として考えておくべき妥当な株価。
根拠のない期待や需給の歪みなく、
長期投資で狙える素の理論株価というわけです。
未来の企業価値の計算
では、3年、5年後の未来の企業価値は、
どのように計算するとよいでしょうか?
答えは、次のようになります。
未来の資産価値=未来のBPS×割引評価率
未来の事業価値=未来のEPS×未来のROA×150×財務レバレッジ補正
長期投資で右肩上がりの成長株を狙う場合は、
事業価値の占める割合が高くなると思うので、
未来の事業価値が重要になってきます。
また、ROAやROEは効率指標だから、大きく変わらないとすると、
(実際は、それなりに変動するが、予測することは難しい)
EPSの伸び、利益成長が企業価値を大きく左右します。
単純計算では、利益が2倍なら事業価値も2倍。
資産価値を除く理論株価も2倍です。
3年、5年後に、理論株価5倍、10倍を狙えるか。
それは、EPSを計算し、成長予測が実現するかにかかっています。
未来価値の予測・分析に全力投球していきましょう。
長期投資における理論株価の利点
2倍、5倍、10倍、20倍と
上昇し続ける成長株を長期的に
持ち続けることは実は難しいものです。
理論株価を使う最大の利点は、
企業の成長とともに上昇していく
理論株価を目標株価として設定し、
長期間保有するための目安として、
活用できることではないかと思います。
逆に業績が振るわない場合も、
理論株価は下落しますから、
利食いや損切りの決断を
バックアップしてくれますので、
上手に活用してください。
成長株長期投資ブログ
参考事例として、今回紹介した投資方法を
はっしゃん自身が2015年から実践している
長期投資ブログを紹介しておきます。
2019年11月現在で4年と4ヶ月が経過。
残念ながら10倍にはなっていませんが、
買い増し分を含め6倍になっています。
未来の業績を予測するために
理論株価の計算方法やツールの使い方が分かって
投資家のやるべき事が「未来の業績を予測すること」だと
お分かりいただけたかと思いますが、
これは決して簡単なことではありません。
参考までに、未来の業績を予測するために
はっしゃんがチェックしていることを紹介します。
・企業が公表している中期計画を見る
・月次情報などまだ決算に乗っていない最新情報を見る
・過去5年程度の決算から過去の理論株価を計算しつながりを見る
・株価チャートが右肩上がりでない場合は何か問題があると考える
■市場分析
・伸びている将来性のある市場に属しているか確認する
・海外で成長している、または海外進出可能なビジネスモデルか見る
・競合や同業他社と比較分析して優位性を確認する
・政府の施策やトレンド・テーマが追い風になるか逆風になるか確認する
・イノベーションやパラダイムシフトによる変化や影響を注視する
ご参考になれば幸いです。
理論株価公開サイト
最後に、はっしゃんが監修している理論株価サイト
を紹介します。お役に立てれば幸いです。
理論株価Web
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