今回は2004-2005年に発生した
ホリエモンでおなじみの
ライブドア100分割事件での
15連続ストップ高チャートを検証します。
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制度的欠陥
最近は10分割、100分割といった
大型分割も普通に実施されていますが、
この事件が起こった2004年当時、
株式分割には制度的な欠陥がありました。
現在では、分割後直ちに新株が割り当てられ、
分割後の株価、株数で普通に取引できるわけですが、
当時は新株の割当までに2ヶ月を要していました。
株券を実際に印刷していた頃は、
分割後、新しい株券を刷るための時間が
必要になっていましたが、2004年時には、
その仕組みがそのまま残っていたわけです。
このルールで100分割を実施すると、
分割後に株価は1/100となり買いやすくなりますが、
新株が発行されるまでは株数も1/100になり、
極端な株不足が発生してしまいます。
その結果が15日連続ストップ高となり、
その後の急落チャートを形成しました。
発掘チャート<4753>ライブドア
■株価推移
※分割後の株価に補正されています
2003/12/24 222円
2003/12/25 (252円) *1日目
2003/12/26 302円 *2日目
2003/12/29 352円 *3日目
2003/12/30 402円 *4日目
2004/01/05 452円 *5日目
2004/01/06 502円 *6日目
2004/01/07 (602円) *7日目
2004/01/08 702円 *8日目
2004/01/09 802円 *9日目
2004/01/13 902円 *10日目
2004/01/14 1002円 *11日目
2004/01/15 1202円 *12日目
2004/01/16 1402円 *13日目
2004/01/19 1602円 *14日目
2004/01/20 1802円 *15日目
※カッコ付きの株価は買いが少なすぎて取引が成立しなかった日の気配値を示します。
株価チャートでは、取引の成立しなかった日は表示されていません。
この相場で何があったかは、
出来高を見れば一目瞭然です。
新株が発行されるまでの2ヶ月間は、
株価だけが大きく変動しているものの、
出来高はほとんどありません。(笑)
連続ストップ高で話題にこそなりましたが、
この相場には勝者も敗者もいないということです。
あえて言うとライブドアが勝者ですが、
この事件で注目を集めすぎましたので、
売名行為との批判が集中しました。
この相場で一番困ったのは既存株主でしょうか。
売りたくても新株がないから売れない。
(厳密には分割前の1/100だけは売れますが、
ほとんど取引が成立しません)
見かけだけ株価は上がりますが、
売れないまま天井を打ち下げていく。
ウェイトを高めていた投資家は、
地雷を踏んだようなものです。
事件の功罪
下記エントリーで堀江貴文氏は、
100分割で株価を下げて流動性を高め、
庶民にも買えるようにしたかったと述べています。
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10229167033.html
もっとも当時は、そのような提言を積極的にしていなかったので、
売名行為と言われたのは仕方ないかなとは思います。
株価を下げて流動性を高めることには大賛成ですが、
その手段として既存株主の不利益にもなる
大幅分割で実施したのは非難されてもしかたがないでしょう。
同時期ヤフーは半年毎に2分割を実施していましたが、
当時の制度ではこれが正当な方法だったように思います。
ただ、この事件をきっかけに制度が改良され、
大幅分割を実施しやすくなったのは事実です。
今では多くの企業が100分割を実施していますし、
庶民でも少しずつ株式投資がしやすくなっています。
ライブドアはその後、粉飾決算により、
上場廃止となってしまいますが、
功罪はともかくITバブル後の新興株を象徴する事件でした。
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あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。