今回は、ITバブル時に日本初の株価1億円
を記録したヤフーの株価チャートを紹介します。
ちなみに、この株を上場後の初値200万で買っていたら、
2020年5月現在で3.67億円です。
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INDEX
発掘チャート<4689>ヤフー
ヤフー上場はITバブルと重なります。
インターネットが急速に普及した革新期。
産業革命をも超える情報革命と呼ばれ、
ネットサービス企業の株価が何十、何百倍
にも跳ね上がりました。
■株価推移
1997/11/04 2.44円 (上場初値 補正前: 2,000,000円)
2000/01/19 495円 (日本初の株価1億円)
2000/02/22 819円 (ITバブル高値: 167,899,136円)
2001/09/04 36円 (ITバブル崩壊後安値: 1,880,064円)
※分割後の株価に補正されています (補正前株価)
ヤフーの株価が最初に1億円(分割補正後は488円)を
付けたのは2000年1月19日ですが、
さらに株価は熱狂とともに上昇。
同年2月22日には1億6789.9万円を記録しますが、
その後、先導するナスダック市場が陥落。
ITバブルとともに崩壊します。
ITバブル後の株価は大暴落を余儀なくされ、
頂点から、わずか1年半年余りで
819円から36円へと20分の1以下。
厳しい洗礼を受けることになります。
ITバブルの象徴
ヤフーの株価1億円は、
ITバブルの象徴として
よく取り上げられます。
はっしゃん自身もITバブル当時に
バブルど真ん中のIT企業に勤務していて、
株価10倍、20倍を体験しましたが、
行き過ぎた市場期待には冷めてましたね。
株価1億円はもう現れないかもしれない
ちなみに、当時ヤフー株の売買単位は1株でした。
現在は全銘柄が100株単位での売買となっており、
仮に株価1億円では100億円もの購入資金が必要となります。
今後、株価1億円の銘柄が登場する可能性は少なそうです。
(インフレになれば別ですが。)
株式分割の記録
ところで、ヤフーといえば、
最も多くの株式分割を行った企業の1つ
としても知られています。
通算で1株を819,200株に分割。
1999年から2013年までの
株式分割の全記録を紹介しましょう。
1999年03月26日 1:2
1999年09月27日 1:2 (通算 1:4)
2000年03月28日 1:2 (通算 1:8)
2000年09月26日 1:2 (通算 1:16)
2002年03月26日 1:2 (通算 1:32)
2002年09月25日 1:2 (通算 1:64)
2003年03月26日 1:2 (通算 1:128)
2003年09月25日 1:2 (通算 1:256)
2004年03月26日 1:2 (通算 1:512)
2004年09月27日 1:2 (通算 1:1,024)
2005年03月28日 1:2 (通算 1:2,048)
2005年09月27日 1:2 (通算 1:4,096)
2006年03月28日 1:2 (通算 1:8,192)
2013年09月26日 1:100 (通算 1:819,200)
■分割補正後の株価
IPO初値: 2,000,000円 (1株)
分割補正後: 2.44円 (819,200株)
実は上の株式分割記録には
成長株投資・長期投資にあたり
非常に重要な法則が隠されています。
それは、株式分割していた成長企業が
「株式分割しなくなると成長はピークを打つ」
というものです。
100株に揃えるための例外ですね。
他の多くの企業にもあてはまりますので、
ぜひ覚えておいてください。
その後のヤフー
ITバブル高値の奪還
ITバブル崩壊で株価が急落したヤフーですが、
業績的には増収増益の成長が続きます。
魅力的なサービスを次々と立ち上げ、
ポータルサイトとしての存在感を発揮。
そして、2004年にITバブル高値の奪還に成功。
ライブドアショック前の2005年末には、
950円の最高値を付けました。
しかし、時代はどんどん先へ進みます。
ライブドアショックから1年余り後。
2007年6月に発表された小さな発明が、
その後のネット環境を劇的に変え、
ヤフーの栄華は急速に色褪せます。
それが「iPhone」の登場です。
■株価推移
2001/09/04 36円 (ITバブル崩壊後安値: 1,880,064円)
2004/03/30 844円 (ITバブル高値の奪還: 1,350,000円)
2005/12/30 950円 (最高値: 190,000円)
※分割後の株価に補正されています (補正前株価)
iPhone登場とスマホ全盛
iPhone以降、ネットの主役はスマホに移り、
新しいビジネスが次々と生まれますが、
ヤフーが先頭に立つことはありません。
中核の検索エンジン分野でGoogleに破れたほか、
強みだったメールや掲示板が
スマホと親和性の高いSNSに移行するなど、
主力分野で競合したGAFAに先行を許します。
Apple: スマホ、コンテンツ課金で敗北
Facebook: SNSで先行を許す
Amazon: Yahoo!ShoppingがAmazonに及ばず
さらに、最近では収益源だったヤフオクが
メルカリに顧客を奪われるなど、
マイナス成長に陥り、株価は低空飛行が続いています。
衰退理由は成長路線が続き、国内では優位にあったにもかかわらず、
イノベーションを生めなかった点でしょうか。
競合は世界に冠するビッグ企業でしたが、厳しいものです。
2019年以降の状況
最近はキャッシュレス決済サービスPayPayで
存在感を示しているほか、
ソフトバンクの連結対象となり、
ZOZOやLINEと資本連携するなど、
スケールメリットを追求して
企業価値は回復傾向にあります。
関連リンク
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あとがき
私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・チャイナ・ショック(2015年)
・コロナ・ショック(2020年)
「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。