株ブログ はっしゃん式 発掘チャート


賢者は歴史に学ぶ。株式市場の記憶に残る名場面を株価チャートで再現して振り返る懐古的株ブログ

スポンサーリンク

<9983>平成最強のユニクロ現象!月次300%から株価60倍の全記録


発掘チャート
ファストリテーリングの月足10年チャート

今回は2000年冬商戦でピークに達した
第一次ユニクロブーム時のファストリテーリングの
株価チャートと月次情報を紹介します。

スポンサーリンク

製造小売モデル

ファストリテーリングがユニクロ1号店を
広島市にがオープンしたのは1984年6月2日。

同社が米国GAP社を参考に構築した
製造小売モデル(SPA)は、非常に画期的なものでした。

製造面では中国に工場を作ることで
大幅なコスト削減
に成功しました。
また、在庫管理と生産システムを
リンクさせることで生産効率を改善
し、
売れ筋商品を欠品させずに、
売り続けるスタイルを確立させました。

そして、ベーシックデザインを採用して、
老若男女を問わず全国民をターゲット層とし、
大量生産メリットを最大化します。

こうして最も高品質・高機能な商品を
最も低価格で大量販売
するユニクロは、
大ブームとなって、社会現象を巻き起こしました。

ブームに乗ったファストリテーリングの株価は、
わずか2年で60倍以上にまで上昇しています。

アパレル業界でユニクロに近い上昇を記録した銘柄に前澤氏が創業したZOZOがあります。

発掘チャート<9983>ファストリテーリング

■月足チャート(1997年9月-2000年12月)第一次ブーム時のユニクロの株価チャート

■株価推移
1998年06月 263円 (1部上場後安値)
1998年12月 501円 (ブーム1年目 安値比1.9倍)
1999年12月 10,875円 (ブーム2年目 安値比41.3倍)
2000年11月 16,100円 (ブーム3年目 安値比61.2倍)
※分割後の株価に補正されています

1998年

ファストリテーリングの月次推移(1998年)

月次売上は年初から既存店100%割れが続き、
株価も冴えない動きで、6月には263円の安値を記録します。

7月の既存店101.3%をきっかけに株価は反転し、
10月には112.0%、11月には118.9%と2桁成長を記録。
12月も104.7を記録し、株価も安値比1.9倍まで上昇。
株価はまだ500円でした。

ユニクロが売り出した1900円フリースは、
11/28オープンの原宿店で1階すべてを
フリース売り場にしたことが話題となり、
200万枚の大ヒット商品となりますが、
まだ社会現象というほどではありません。

当時、他社のフリースは数千円から10,000円くらいで、
ユニクロで買うと3分の1程度でした。
他ではジーンズも半額以下で買えて人気でした。

1999年

ファストリテーリングの月次推移(1999年)

フリース人気が急拡大し
月次売上も絶好調になります。
2月、5月、6月、7月、9月に既存店130%以上を記録。
直営店の合計売上は150%超えも記録、
株価も本格的上昇を開始します。

店舗には1900円で15色ものバリエーションが揃った
フリース
を求めて長蛇の列ができ、
10月には既存店160.6%という驚異的な月次を記録。

株価は上昇カーブを強め、12月には10,875円。
ブーム前の40倍まで上昇しました。
この年、ユニクロは前年比4倍超の
850万枚ものフリースを販売しています。

2000年

ファストリテーリングの月次推移(2000年)

月次売上はユニクロブーム3年目も
年初から大幅プラスが続きます。

後半の冬商戦は、あれだけ売った後だから、
さすがに今年は売れないだろうと思われていた
フリースを51色のバリエーションで発売

これが大きな話題となって、ユニクロ現象はさらに過熱。
あまりの人気ぶりに周辺道路の交通渋滞がテレビで報じられるなど、
ブームは社会現象を巻き起こしました。

月次業績は、2月から7月まで6ヶ月連続で直営店合計が200%超を達成。
ピークとなった9月の月次では、直営店308.4%、既存店231.2%を記録します。
この年、ユニクロはヒット商品番付の1位となり、
フリースは2600万枚を完売する空前のヒットを樹立しました。

株価は11月にピークとなる16,100円を付けましたが、
10月の月次が低下すると急落。
ユニクロ現象はようやくピークアウトへ向かいました。

2001年

ファストリテーリングの月次推移(2001年)

さすがのユニクロブームも4年目に入ると、
月次売上が少しずつ低下してきます。

8月には既存店が100%割れとなり、
それ以降は、ブームの反動で苦戦が続きました。

平成最強だったユニクロ現象

格安フリースブーム、ユニクロ現象の4年間の月次です。
飛躍した1999年。頂点を極めた2000年。
小売業界で平成最強のムーブメントだったと言えるでしょう。

ファストリテーリングの月次推移(1998-2001年)

数年で売上を10倍にした、いきなり!ステーキの月次情報推移や成長の軌跡はこちら。

その後のファストリテーリング

■月足10年チャートファストリテーリングの月足10年チャート

■株価推移
1998年06月 263円 (1部上場後安値)
2000年11月 16,100円 (第一次ブーム高値 安値比61.2倍)
2015年09月 61,970円 (安値比236倍)
2021年03月 110,500円 (安値比420倍)
※分割後の株価に補正されています

その後は他社も追随したことで、
低迷した時期もありましたが、
一度は退いた創業者の柳井氏が復帰すると、
ヒートテックやブラトップなどヒット商品を連発

さらに成熟してきた国内市場を基盤に、
海外市場でも収益を伸ばし、
H&M、ZARAと並ぶ世界ブランドへ飛躍しました。

■ユニクロの海外進出
2001/09 ロンドン出店
2002/09 上海出店
2005/09 米国、韓国、香港出店
2007/12 フランス出店
2009/04 シンガポール出店
2010/04 モスクワ出店
2010/10 台湾出店
2010/11 マレーシア出店
2011/09 タイ出店
2012/06 フィリピン出店
2013/06 インドネシア出店
2014/04 オーストラリア、ドイツ出店
2015/10 ベルギー出店
2016/09 カナダ出店
2017/09 スペイン出店
2018/08 スウェーデン出店
2018/09 オランダ出店
2019/04 デンマーク出店
2019/09 イタリア出店
2019/10 インド出店
2019/12 ベトナム出店

株価も2015年に61,970円の高値を付け、
フリースブーム高値の3.8倍に上昇。

さらに2019年のコロナショック後、
株価も一時急落したものの、
その後は上昇し100,000円超を記録。

その後はいったん調整していますが、
テレワークなど働き方の多様化が進み
ユニクロが主力とするカジュアル衣料の
市場拡大は継続しています。

最近は、ワークマンが機能性と低価格で急成長を遂げており、ユニクロとの競合も増えてきました。

関連リンク

スポンサーリンク

あとがき

私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。

「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。

ピックアップ