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賢者は歴史に学ぶ。株式市場の記憶に残る名場面を株価チャートで再現して振り返る懐古的株ブログ

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<9432>株価300万円のNTTを38年間保有した累積配当金額


発掘チャート
上場直後300万円に到達したNTTの株価チャート

今回はバブル景気ピークの約3年前に上場、
時価総額世界一の座に君臨したNTTの
株価チャートを紹介します。

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伝説の株価300万円

NTTの上場は30年前の1987年。
初日の2月9日は買いが殺到して値付かず。
翌10日の160万円が初値となりました。

その後も買いが継続して、
3月4日には株価300万円に到達
4月22日には、上場来の高値となる
318万円を記録
しました。

ここまでNTT株が買われた背景の1つに、
2月23日のルーブル合意があげられます。

ルーブル合意を受けて日銀が公定歩合を2.5%と
当時の最低水準まで引き下げたことで、
日本株がバブル化するきっかけとなっていきます。
NTT300万円はまさにバブル序章なのですね。

■ルーブル合意
1985年プラザ合意後の行き過ぎた
円高ドル安進行に歯止めをかけるための
国際為替協調会議のこと

売出価格の一覧

大人気だったNTT株は、
これまで6回に渡って、
売り出されています。

■NTT株売り出し一覧
1987/02/09 1次売出 117.36円 (補正前:119.7万円)
1988/11/19 2次売出 250.00円 (補正前:255万円)
1989/10/28 3次売出 186.28円 (補正前:190万円)
1998/12/18 4次売出 83.84円 (補正前:85.5万円)
1999/11/12 5次売出 93.36円 (補正前:95.2万円)
2000/11/10 6次売出 93.04円 (補正前:94.9万円)

2023年6月現在の株価は170円台ですので、
2次、3次の高い所で買った人は損をしているようですが、
後述する配当を合わせると損失が補填されています。

NTTの上場から8ヶ月後にブラックマンデーの暴落がありました。
主力株のほとんどがストップ安となる中、NTTは違いました。

発掘チャート<9432>NTT

■日足チャート(1987年2月-1987年6月)上場直後300万円に到達したNTTの株価チャート

■株価推移
1987/02/09 156円 (上場初値 補正前: 160万円)
1987/03/04 295円 (補正前: 株価300万円に到達)
1987/04/22 311円 (上場来高値 補正前: 318万円)
※分割後の株価に補正されています (補正前株価)

NTT株の1次売出価格は119.7万円。
短期間で3倍近くにも値上がりしたため、
売却して大きな利益を手にした人も多く、
NTT株長者として話題になりました。

時価総額世界一

NTTで特筆すべき点としては、
上場直後から時価総額世界一を記録
しているという点です。

バブル景気のピーク時には、
世界の時価総額上位のほとんどを
日本株で占めている
状態でしたが、
当時はNTTが頭一つ抜けていました。

NTT上場から11年後に上場したのが、子会社のNTTドコモです。
ITバブル期のピークでの上場となり、こちらも大変な人気株となりました。

累積配当の計算

NTT株には配当利回りが高いという特徴があります。
高配当株の場合、長期保有を続けるほど累積配当収入が増えていきます。

以下に、上場時にNTT株を1株購入していた場合の
累積配当収入を計算してみます。

1987年度 配当5,000円 (1株)
1988年度 配当5,000円 (1株) 累積10,000円
1989年度 配当6,000円 (1株) 累積16,000円
1990年度 配当5,000円 (1株) 累積21,000円
1991年度 配当5,000円 (1株) 累積26,000円
1992年度 配当5,000円 (1株) 累積31,000円
1993年度 配当5,000円 (1株) 累積36,000円
1994年度 配当5,000円 (1株) 累積41,000円
1995年度 配当5,000円 (1株) 累積46,000円
1996年度 配当5,000円 (1株) 累積51,000円
1997年度 配当5,000円 (1株) 累積56,000円
1998年度 配当10,000円 (1株) 累積66,000円
1999年度 配当5,000円 (1株) 累積71,000円
2000年度 配当5,000円 (1株) 累積76,000円
2001年度 配当5,000円 (1株) 累積81,000円
2002年度 配当5,000円 (1株) 累積86,000円
2003年度 配当5,000円 (1株) 累積91,000円
2004年度 配当6,000円 (1株) 累積97,000円
2005年度 配当6,000円 (1株) 累積103,000円
2006年度 配当8,000円 (1株) 累積111,000円
2007年度 配当9,000円 (1株) 累積120,000円
2008年度 配当11,000円 (100株) 累積131,000円
2009年度 配当12,000円 (100株) 累積143,000円
2010年度 配当12,000円 (100株) 累積155,000円
2011年度 配当14,000円 (100株) 累積169,000円
2012年度 配当16,000円 (100株) 累積185,000円
2013年度 配当17,000円 (100株) 累積202,000円
2014年度 配当18,000円 (100株) 累積220,000円
2015年度 配当22,000円 (200株) 累積242,000円
2016年度 配当24,000円 (200株) 累積266,000円
2017年度 配当30,000円 (200株) 累積296,000円
2018年度 配当36,000円 (200株) 累積332,000円
2019年度 配当38,000円 (400株) 累積370,000円
2020年度 配当42,000円 (400株) 累積412,000円
2021年度 配当46,000円 (400株) 累積458,000円
2022年度 配当48,000円 (400株) 累積506,000円
2023年度 配当50,000円 (10,000株) 累積556,000円
※1995年の1.02分割は配当計算に含めていません

利回りが特に高くなってきたのは、ここ数年ですが、
38年間の累積配当額は55.6万円(税引前)になりますね。
配当収入を考慮すると、1次売り出しで買った人は、
利益が出ている
ことになります。

2023年6月現在のNTTの予想配当利回りは約2.9%。
100株だと、17,100円から購入できますが、
171万円で1万株を購入すると50,000円の配当がもらえます。
これは非常に魅力的だと思います。

今は銀行に100万円を1年間預けても
金利は0.1%ですから、1,000円しか増えませんが、
NTT株なら50,000円の配当をもらえるわけです。

しかもNTTの筆頭株主は財務大臣=日本政府
どこかのボロ銀行なんかより、よっぽど安全かもしれません。(笑)

銀行預金にはペイオフ制度が導入されていて、
銀行が破綻しても1000万円までは保護されます。
(さらに無利息の決済専用型なら全額保護)
株の場合はNTTといえども破綻すれば0円です。
株価だけで記憶に残っている銘柄といえば、
NTTの他では1億円のヤフーが有名ですね。

その後のNTT

■月足チャート(1987年2月-2019年12月)NTTの上場から30年の株価チャート

■株価推移
1987/04/22 311円 (上場来高値 補正前: 318万円)
1999/11/25 190円 (ITバブル高値 補正前: 194万円)
2011/03/15 32円 (上場来安値 補正前: 3,220円)
※分割後の株価に補正されています (補正前株価)

バブル景気崩壊に先駆けて急落したNTTですが、
ITバブル期には情報通信網への期待
上場した子会社NTTドコモの人気などもあり、
194万円の戻り高値を記録しています。

30年前の300万も、
ITバブルの190万円も
夢はありましたけどね。。。

NTTの最安値

しかし、ITバブルが崩壊すると再び下落。
それから10年以上に渡る長い低迷を続け、
東日本大震災の直後には32円の
上場来最安値
に沈んでいます。

もしも、NTTを震災後の安値で買えていたとしたら・・・
株価は5倍以上になっており、配当利回り15%以上
お宝株になっています。

ちなみに、上場直後の高値318万円は、
30年以上経った現在も更新されていません
果たして、更新される日は来るのでしょうか。

ちなみに現在の株価(2023/06/29)は171円。
あの時の300万円は、今171万円です

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あとがき

私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。

「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。

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