本投稿は2009年7月、リーマンショック後に
書いた記事のリライトです。
金融危機どん底の雰囲気が出ています。
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よい会社とは?
今日は頭の転換をしてみましょう。
投資家にとってよい会社とは
1)株価が上がる会社
2)配当利回りのよい会社
ってことですよね。
では、お役所にとっては、
どうでしょうか?
投資家とは基準が違います。
1)税金をたくさん納める会社
2)地域の雇用に貢献している会社
ってことになると思います。
法人税、そして従業員からの所得税が
たくさん見込める会社。
社員をたくさん雇っていて、
地域経済に貢献する会社が
よい会社ということになるでしょう。
会社のステークホルダーは、
一般に
1.株主
2.従業員
3.顧客
の3つですが、非常時の倒産リスクまで考えると
4.お役所
も忘れてはいけないということです。
倒産確率の求め方
人件費の一部が所得税になり、
経常利益と純利益の間に法人税があります。
投資家はこの点を軽視しがちで、
収益効率や配当利回りのよい会社を
求める傾向にありますが、
会社が経営危機に陥った場合には、
全く違う視点から倒産確率を
導き出しておく必要があります。
重要なファクターは、
時価総額、純資産変動率、PBR、
そして納税額です。
少なくとも不況期の暴落局面では、
割安株か倒産株かを判断するロジックとして、
倒産確率の概念は有用でしょう。
支払所得税の計算
支払法人税は損益計算書に記載されていますが、
所得税も計算することができます。
例えば、四季報を見れば、
・従業員数
・平均年収
は掲載されています。
連結従業員数:86016名
平均年収:651万円
平均所得税額: 87万円
推定支払所得税:740億円
■6773 パイオニア
連結従業員数:32115名
平均年収:726万円
平均所得税額:103万円
推定支払所得税:330億円
■8868 アーバンコーポ
連結従業員数:1403名
平均年収:687万円
平均所得税額: 95万円
推定支払所得税: 13億円
ここから、該当企業の
従業員が支払う所得税を
計算することができます。
規模の利益と倒産確率
倒産企業に関する政府のスタンスは、
バブル崩壊や平成金融危機から一貫して
中小企業=破綻処理
です。
倒産が囁かれながら
リーマンショックを生き残った
三洋電機、パイオニアと
黒字倒産の憂き目を見た
アーバンコーポレイションの
支払所得税額を見てみると、
影響をイメージできると思います。
国家にとっても数百億円規模の
納税能力を持つ企業を簡単に潰すことは
できないというわけです。
「規模の利益は倒産確率に影響する」
このようなモラルハザード的な
二重基準も、経験則から統計分析し、
予測することができます。
昔からよく言われる例として、
三菱グループの企業は絶対に倒産しない
という神話があります(笑)
最も懸念されるのは、
将来有望でこれからの
日本を担うはずの
若い有望企業が破綻処理。
規模が大きいだけの
時代遅れの大企業が
救済される悪夢です。
実際、日本では、
このようなことが
繰り返されており、
投資家としては、
教訓として知っておかねばなりません。
* * *
2008年からの暴落相場と一連の倒産続出で、
貴重な生の倒産情報を手にすることができましたし、
そこから算出した倒産確率ロジックは、
はっしゃん自身の銘柄選択にも有用でした。
はっしゃんがリーマン・ショックの経験を元に
倒産確率を監修した倒産確率Webでは、
上のような考え方も採り入れて倒産確率を計算しています。
参考:リーマン・ショック破綻企業リスト
建設や不動産が多いことが特徴ですが、
これだけの上場企業が同時期に破綻することがある
ということは知っておいた方がよいでしょう。
1880 スルガコーポレーション
1744 キョーエイ産業
1908 三平建設
1839 真柄建設
8882 ゼファー
8911 創建ホームズ
8868 アーバンコーポレイション
8921 シーズクリエイト
8948 ランドコム
8936 リプラス
8937 Human21
3247 エルクリエイト
1858 井上工業
8947 ノエル
1854 新井組
8901 ダイナシティ
1754 東新住建
8888 クリード
1889 あおみ建設
8839 ニチモ
8878 日本綜合地所
8943 エスグラントコーポレーション
1872 アゼル
8902 パシフィックホールディングス
8991 ライフステージ
3207 中央コーポレーション
8874 ジョイントコーポレーション
8884 ディックスクロキ
8899 モリモト
1779 松本建工
8858 ダイア建設
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