株ブログ はっしゃん式 発掘チャート


賢者は歴史に学ぶ。様々な銘柄の記憶に残る名場面を株価チャートで再現して振り返る懐古的株ブログ

<4755>ITバブル上場19年、楽天の株価推移と長期投資の教訓


発掘チャート
楽天の20年株価チャート

はっしゃんです。

今回は、19年前の2000年4月、
ジャスダックに上場した楽天を例として、
成長株を割高な時期に購入して長期保有すると
どうなるか検証してみたいと思います。

このエントリーでは「はっしゃん式理論株価
を使って企業価値を計算します。
理論株価はチャート上では、
・緑色ライン:資産価値
・橙色ライン:理論株価 (資産価値+事業価値)
・水色ライン:上限株価 (資産価値+事業価値×2)
から成っており、四半期ごとの
財務指標から計算されています。

ITバブル頂点の上場

楽天は2000年4月19日、
ITバブル頂点から2ヶ月後に上場しました。

■楽天の株価チャート(IPO-2002年)
上場直後の楽天の株価チャート

ヤフーとともにネットビジネスの草分けとして、
上場直後から、その将来性に期待が集まり、
株価は理論値の100倍以上まで買われています。

■上場直後の株価水準
理論株価 8円 (分割補正前640,000円)
上場初値 249円 (理論値の31倍)
上場直後の高値 880円 (理論値の110倍)

しかし、ITバブルが崩壊すると急落。
理論値の100倍以上まで買われていた株価は、
急速に理論値に収斂し、上場から1年半後の
NYテロ時には、安値46円まで下落。
高値から19分の1という落差の大暴落でした。

■2001年9月の株価水準
理論株価 32円
上場直後の安値 46円 (理論値の1.4倍、高値比19分の1)

同期間に、楽天の理論株価は8→32円と
当初比4倍に上昇していたわけですが、
バブル崩壊とNYテロ暴落が重なり、
下落率95%という修羅場と化しました。

この期間、株価は理論値に全く連動せず
ITバブルの熱狂と崩壊後の暴落という
需給の波に連動していました。

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M&Aによるビジネス拡大

その後の楽天は、既存ビジネスにとどまらず、
IPOで調達した豊富な資金を元手として、
M&Aにより売上を拡大していきます。

2003/09/04 旅の窓口(楽天トラベル)を買収
2003/11/26 DLJディレクト証券(楽天証券)を買収
2004/11/02 楽天イーグルスNPB加盟承認
2005/03/10 国内信販(楽天カード)を買収
2006/01/17 ライブドアショック

この時期は利益より規模の追求を優先し、
あまり利益を出さないスタイルでしたので、
理論株価は上昇しませんでした。

■楽天の株価チャート(2003-2007年)
2003-2007年の楽天の株価チャート

また、株式分割を相次いで実施するなど、
ライブドアとともに新興企業の顔となり、
株価は「理論株価と連動しない形」で再び人気化します。

■楽天の株式分割記録
2000年05月26日 1:8
2002年06月25日 1:10 (通算 1:80)
2004年12月27日 1:10 (通算 1:800)
2012年06月27日 1:100 (通算 1:80,000)
■分割補正後の株価
IPO初値: 19,900,000円 (1株)
分割補正後: 248.75円 (80,000株)

2005年1月には、ITバブル高値を超える1270円まで上昇して、
NYテロ時の安値から27.6倍の高値をとりましたが、
企業価値も上昇していたため、理論値の49倍と、
理論値からはITバブル期より控えめの上昇でした。

■2005年1月の株価水準
理論株価 26円
ライブドアショック前の高値 1270円 (理論値の49倍、安値比27.6倍)

ところが、2006年にライブドアショックが発生すると、
新興企業への投資リスクが敬遠され、
株価は高値の3分の1以下まで下落します。

株価が下落した反面、業績的には2005年以降は、
M&Aの効果や楽天市場の手数料値上げで、
利益が出せるようになり、企業価値は右肩上がりに上昇。
株価と理論値との乖離は縮小していきました。

■2007年7月の株価水準
理論株価 128円
2007年安値 333円 (理論値の2.6倍、高値比-73.7%)

リーマンショック下の成長

2008年から2011年にかけては、
リーマンショックや東日本大震災
日本経済が停滞していた時期ですが、
楽天は右肩上がりの成長を続けます。

2008/09/16 リーマンショック
2009/02/10 イーバンク銀行(楽天銀行)の子会社化
2010/02/01 公用語の英語化
2011/03/11 東日本大震災
2011/12/03 年間流通総額1兆円
2012/07/19 電子書籍参入

リーマンショック時には株価も下落しましたが、
業績はむしろ拡大していきます。

2010年には社内公用語を英語化すると表明、
ユニクロとともに注目を集めました。

■楽天の株価チャート(2008-2012年)
2008-2012年の楽天の株価チャート

2011年は東日本大震災がありましたが、
楽天市場の年間流通金額は1兆円を突破。
2012年には電子書籍に参入するなど、
新規ビジネスにも積極参入して利益を拡大します。

株価は理論株価と連動する形で、
右肩上がりに上昇していきましたが、
(ただし、理論値の数倍という水準を維持)
この期間は、日本株が低迷していた時期でもあり、
2005年高値は超えられませんでした。

■2011年9月の株価水準
理論株価 162円
2011年高値 948円 (理論値の5.8倍)

本当に勢いのある成長株というのは、
(理論株価やPER、PBRが割高でも)
リーマンショック級の暴落があっても、
それほど大きくは下げない
し、
反発も早いということが分かります。

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アベノミクスと新高値

2012年12月からアベノミクスがスタートすると、
株価は再び上昇し、2014年には1843円の高値を記録。
理論値に対しても8.6倍まで上昇しています。

2013/12/03 東証1部上場
2014/10/01 Rポイント開始
2014/10/29 MVNO参入
2014/11/25 ラクマ開始
2014/12/06 ヴィッセル神戸買収
2015/06/04 公募増資発表7%希薄化
2017/12/14 携帯キャリア参入表明

新規ビジネス面でもRポイント、楽天モバイル
フリマアプリ、Jリーグへの参入など
積極的な拡大を続けています。

■楽天の株価チャート(2013-2017年)
2013-2017年の楽天の株価チャート

一方で株価は、2015年4月に2395円の最高値を記録
したものの、その後の公募増資による需給悪化
をきっかけに急落してからは、長い下げが続きました。
2016-2017年のトランプ相場にも乗れず、
市場評価は厳しい状況に。

■2014年1月の株価水準
理論株価 213円
2014年高値 1843円 (理論値の8.6倍)
■2015年4月の株価水準
理論株価 341円
2015年高値 2395円 (理論値の7.0倍)

この頃は、日米でAmazonへの一極集中ぶりから、
Amazonエフェクト
デス by Amazon
などが語られ、競合企業への投資が
警戒されていた側面もあります。

そうしたなか、2017年末に携帯キャリア参入
を表明しましたが、過当競争が懸念され、
株価はさらに下げる展開に形になりました。

皮肉にも株価は理論株価に収斂していきます。

■2017年12月の株価水準
理論株価 561円
2017年安値 1033円 (理論値の1.8倍)

発掘チャート<4755>楽天

楽天の特徴は金融業を含むため、
自己資本比率が約10%と低いこと。
そのためROAは1.5%に過ぎませんが、
ROEは13%台とまずまずの水準です。

株価は上場来ずっと超割高水準
理論株価と乖離した形で
何回も大きく上昇していますが、
低迷すると理論値に近付く傾向があります。

■楽天の株価チャート(20年チャート)
楽天の20年株価チャート

楽天株主にとっての不幸は、
ITバブルのほぼど真ん中で上場したこと。
IPO株価が割高であるため、
19年間で理論株価は75倍に上昇しても、
株価上昇率は5倍程度に留まっています。

ちなみに、楽天は2019年4月現在、
時価総額ではヤフーを上回っています。

 楽天: 1.7兆円
 ヤフー: 1.4兆円

しかし、IPO初値からの株価上昇率では、
20倍以上の差があります。

 楽天:5倍
 ヤフー:112倍

19年で理論株価75倍は素晴らしい成長ですが、
19年で株価がたったの5倍では、
成長株としては期待外れになるでしょう。

もっとも、高株価で資金調達したおかげで、
M&Aを進められたことも事実なので、
株主もその恩恵に預かっているわけですが。

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長期投資の教訓

楽天の株価から得られる長期投資の教訓です。

企業規模が小さい時ほど、株価は業績ではなく、期待と需給で動く
そして、企業規模が小さい時ほど、株価の値動きも大きい。
理論株価より割高な水準で買うほど長期投資のリターンは少ない
ただし、年単位で安値を待てば絶好の投資チャンスになることもあり。

成長株長期投資で重要なのは、

1.割安に買うこと
2.成長が続くこと

になりますが、
楽天の場合は、条件1を満たす期間が、
ITバブル崩壊後の2年程度しかない
のが少し残念ですね。

成長は現在も続いており、
さらなる成長が期待できる
企業の1つだと思います。

あの時の株価は、今いくら

19年前のIPO当時、
楽天1株を1990万で買っていたら、
現在の価値は、約1億円です。
(2019年4月19日現在9760万円)

関連リンク

参考書籍

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あとがき

私たちは株価チャートを
結果から見て評価する傾向にありますが、
実際の相場は現在進行形ですから、
当時の業績や市場期待、需給を投影した
株価チャートは貴重な実録データです。

・ブラックマンデー(1987年)
・バブル相場(1989年)
・ITバブル(2000年)
・NYテロ(2001年)
・リーマン・ショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)

「賢者は歴史から学ぶ」といいます。
今も昔も株式投資の基本コンセプトは
「将来、値上がりしそうな株を買う」
ということで同じですから、
過去を知るということは、
未来を知ることに通じると思います。

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プロフィール

はっしゃん

はっしゃん [詳細]

50歳代エンジニア兼業投資家。月次情報と理論株価の分析をライフワークに、ストレスのかからない「スロートレード」を実践しています。

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